同人文化が大きくなっていったC翼の頃から同人文化を知ったのだとはいえ、田舎の女子中学生が手に出来る既成の萌えなど、本当に少なかったのが80年代後半頃でした。
当時私は、名前だけは知っていても『June』を本屋で探すこともしていなかったし、女子中学生には手の届きにくいものでもありました。
というわけで自然、小説の中のそういったものを探して読むことになります。
情報も、ネットなどない時代ですから、なんとなくのものを自分で集めていくしかありません。
というわけで、三島由紀夫の『仮面の告白』だとか、森鴎外の『ウィタセクスアリス』だとか、その娘の茉莉の書いた『恋人たちの森』だの、中上健次の『賛歌』、村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』、私がハンドルネームに登場人物の苗字を借りた『孤島の鬼』、稲垣足穂『少年愛の美学』といったものであったり、映画で見た『モーリス』は当時の友人が小説を買ってくれたのでそれを読み、あるいは軍人ものにハマって軍についての本を読んでみたり。トーマス・マンだのヘルマンヘッセだとか。
倒錯的なにおいを求め、特にそういう題材ではなくとも、江戸川乱歩はよく読みました。そのせいで自身の書くものが少々SM趣味みたいなのかもしれません。
そういえば、学生時代に授業で戦争について書くための資料として読んだドイツについての本で、ハンス・カロッサという方の書いた愛国心を持たせるための詩が紹介されていたのですが、ゲイ文学のガイドブックを買ってきたときに名前を見つけて、えらく不思議な気持ちになったものでした。
戦争ものと言えば、日本の話では加賀乙彦『帰らざる夏』は耽美です。今どきは、「暗いので注意!」とか書かれてしまう系なのですけれども。
「暗いので注意!」といえば、すでに文学からそういったものを探さずとも、かなり豊富にものが売られ始めるころかその直前辺りで友人に勧められて読んだ、『草の花』も美しい話でした。
他にも何かあるはずですが、明日も仕事で、そのあと金曜日まで働かねばならんので、この辺でおやすみなさい。