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老腐人の友

スキルもなければ趣味の幅も狭いけれど 35年以上腐っているアラフィフ腐女子です。

本日の老腐女子:4 思い出語り

 私の中学生の頃には、本当に衝撃的なことではありましたけれども、英国映画ブームというものが来て、男と男が愛し合う映画がこの世に存在するんですってと、色めき立ったものでした。

 『モーリス』『アナザー・カントリー』『マイ・ビューティフル・ランドレット』といったものを、当時は近所にツタヤがなかったのか、まだ全国展開していなかったのか覚えていませんが、地元にあった大きなレンタル店で『モーリス』のポスターを貰って来たりもしつつ、何度もレンタルして観たものでした。

 その流れで、友人が見つけてきた『寄宿舎~ジョルジュとアレクサンドル』という少女漫画さながらのフランス映画や、『美しき少年~エルネスト』という、こちらは具体的に潤滑油の話まで出てくるのだけれどもオチに納得がいかなかった映画にも出会いました。

 勿論、伝説の美少年ビョルン・アンドレセンの『ベニスに死す』にも。
あの美しさを最初に目にした時の衝撃は忘れられません。

 『モーリス』は今どきのBLの雛形になりそうな話運びで、階級差もテーマとなっているお話。主人公は最初からゲイです。ケンブリッジ大学で出会った、当時の流行だった心だけファッション・ゲイの地主の息子に心を弄ばれ、揉めたりもしたけど仲直りして、そうして所詮はファッションでゲイぶってただけなので結婚してしまう友人、というのが前半戦。

 その後、家へ遊びに行ったりもするのですけれど、その時に出会ってしまった若い狩猟番(原作では少年になってるけど、当時24歳ぐらいだったR・グレイヴスが演じてます。『シャーロック』のレストレード役の方です)になぜか、「俺を呼んだろ、聞こえたんだ、何も考えないで、横になって」などと言われながら夜這いを掛けられて惚れて、しかし身分の差があるせいですれちがってしまったり、みたいな。

 『アナザー・カントリー』は、パブリックスクールを扱った物語。本当にいた人物をモデルとしていて、当時学生の間に広がっていた共産主義的思想とを絡めた物語なのですけれども、これか、『モーリス』の大学の主人公の同級生に、すでに波平ハゲみたいな同級生がいたのでしたけども、どっちだったのだろうか。

 『マイ・ビューティフル・ランドレット』はパキスタン人の青年で、コインランドリーの経営を叔父から任された男が、人種差別主義のの暴徒に襲われたときに、昔なじみの友人だった英国人の男に助けられ一緒に暮らすようになり、というような。ちなみに英国人の男は、すでに引退してしまったものの三回オスカーを受賞した男、ダニエル・デイ=ルイス。ちなみに彼のお父様は宮廷詩人であり、ニコラス・ブレイクの名前で推理小説を書いてらっしゃいます。

 『寄宿舎』は、寄宿学校の上級生と下級生の恋の物語。ちょっと衝撃を受けたのは、血の誓いを行う二人の姿。しかし下級生君があまりにも小学生のようで、ちょっと違和感がありはしたのだけれども。白黒映画です。温室だとか寄宿学校だとか、、完全に昔の少女漫画です。

 『美しき少年』は、色々衝撃的で、少年と最初に恋仲になった男が、関係するときにオイルを持っていく話をする辺りで、それまでに何冊もの同人誌を読んできていたとはいえ、おぼこだったし、だいたいおぼこでなくなったって、中学生女子がわざわざケツの穴でいたすというのを思い浮かべるわけでもないから、いきなりの展開にビックリしました。

 なるほど潤滑油化、とは思ったものの、その後、ゲイの方の買う雑誌をいくつか読んでみた際に、どういうものか肛門濡れる人がいるという衝撃的な話を知って、人体の不思議に思いを馳せたものでした。

 『ベニスに死す』は、最初のほうは爺さんが旅に出る場面が続き(しかし爺さんとはいえ、『地獄に落ちた勇者ども』のダーク・ボガード)、しかし美しいビョルン・アンドレセンの演じるタッジオ少年が映った瞬間、本気で息をするのを忘れるほどの美しさに、感動したものでした。多分、彼の人生史上最高の時が封じ込められた映画なんではないでしょうか。

 少年の華奢さと、男の身体に変化してきている風味、美しい卵型の顔の中に左右対称の整った、憂いと鋭さとあどけなさを併せ持った瞳、スーッと通った鼻、愛らしい唇、そうして金色の髪という完璧な容姿に、華奢なセーラー服や昔の水着なんかを着て、ただひたすらに美しいものでした。当時、自分も少女だったくせにショタ属性がなかったんではあったものの、そんなものなど関係ない、崇高な美しさでありました。

映画自体は、自身が老いてこないと、ひたすら美しさを愛でるばかりで、、老人への共感もしづらいかもしれないのだけれど。
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